Bulletin magazine 会報誌/理事長メッセージ





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Vol.56

理事長メッセージ

河合弘之 さくら共同法律事務所所長・弁護士

会社は誰のものか(再論) ブルドッグソース高裁判決に思う

「スティール・パートナーズ対ブルドックソース」の買収防衛策差し止め訴訟で、高裁判決はスティール・パートナーズを濫用的買収者と断定し、次のように言いました。
 『株式会社は、理念的には企業価値を可能な限り最大化しそれを株主に分配するための営利組織であるが、同時にそのような株式会社も、単独で営利追及活動ができるわけではなく、一個の社会的存在であり、対内的には従業員を抱え、対外的には取引先、消費者等との経済的な活動を通じて利益を獲得している存在であることは明らかであるから、従業員、取引先など多種多様な利害関係人(ステークホルダー)との不可分な関係を視野に入れた上で企業価値を高めていくべきものであり、企業価値について、専ら株主利益のみを考慮すれば足りるという考え方には限界があり採用することができない』
 株式会社は社会が健全だから存在し得、利益を上げられること、だからこそ会社は社会が健全であることに貢献しなければいけないということが格調高くうたわれています。
 上記の「など」の中には地域、国、地球が含まれ、それらもステークホルダーと考えるべきだと思います。これがまさにCSR(企業の社会的責任・貢献)の真髄です。
 私はこのことを、繰り返してJCB会員の皆さまに訴えてきました。それが、法律の権化のような東京高裁の裁判官によって熱く語られたのです。日本の裁判所も捨てたものではありません。私は深い感動を禁じ得ませんでした。
 JBCは組織としても、個人としても、この高い志を持って社業に励み、社会に貢献しましょう。