Bulletin magazine 会報誌/理事長メッセージ





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Vol.63

理事長メッセージ

河合弘之 さくら共同法律事務所所長・弁護士

架空取引・循環取引に警戒を

 ここ1年、経済が変調を来たす中で、架空取引や循環取引による事件が続発し ている。  売り上げの減少を隠そうと、見せかけの売り上げを計上する目的で行われるこ とが多い。全く存在しない売買などを契約したかのように装うのが架空取引、実際 に存在するものをグルグル回す形をとるのが循環取引である。加ト吉、IXI社、NE Cエンジニアリング、富士ゼロックスなどの一流会社でも事件が起きていることが 注目される。  法律的にいうと、これらは詐欺罪、背任罪、金融商品取引法違反(粉飾決算)な どを構成する重大なコンプライアンス違反となる。事件が発生すると、監査法人か らは徹底的に追及され、適正意見がもらえなくなるし、銀行からは相手にされなく なる。  それでは、架空取引や循環取引を防止するにはどうしたら良いか。まず第一に、 取引契約書、注文書、注文請書、納品書、物品受領書等の証憑類の完備を徹底 し、相互に矛盾や抜けがないかを日常的、制度的にチェックすることである。循環 取引等ではこれらの一部が欠けていたり、伝票相互に矛盾(日付、シリアルナン バー、品番などに)があったりするのである。  防止策の第二は、現品の確認である。伝票類が完備していても、少しでも変な兆 候があったら、現場に赴いて現品を確認すること。これによって不正を発見するこ とができる。さらに、これらのチェックは2人以上でやらせ、相互牽制を働かせるこ とも必要である。  景気が悪くなってくると、このような不正がますます増えていく恐れがある。自分 の会社でこのような事件が起きないよう、十分に警戒する必要がある。内部統制の 初歩である。