3月11日の東日本大震災で被災した私の大学のクラブの後輩の所へお見舞いに行って来ました。
彼は宮城県名取市にある「かまぼこ」を製造販売する老舗会社を経営しています。3つの工場と自宅が全て津波で流され、58名いる社員のうち、工場長を含む3名が亡くなりました。
名取市は仙台市の南で、仙台空港との間に位置する沿岸部の町です。一帯はまだ船や瓦礫を撤去している作業中で、見渡す限り何もありません。
6メートルくらいの高台にある近くの神社の松の木も流されていました。
震災から10日後、彼は集まった社員40余名に「残念だが、会社を解散せざるを得ない」と伝えたそうです。しかし、悲しそうな社員を見て、「本当にこれで良いのか」と、毎日悩んだと聞きました。
ボランティアの社会保険労務士から、「社長、このような補助金も有りますよ」と励まされ、3月末に彼は「もう一度、会社を再建したい」と社員に伝えました。
私もこの再建に協力したいと思い、過去の決算書を分析して再建案を作ろうと現場に駆けつけました。しかし、過去の銀行借入と今後の工場・設備資金を合わせると、大変な借入金額になってしまいます。
いわゆる「二重ローン問題」です。
1000年に一度といわれる天災ですが、この会社の再建には従業員とその家族だけでも約200名の生活がかかっています。
今、政治の決断がないと、大半の会社が再建できないというのが実状です。国民一人ひとりがその負担を少しずつでも分かち合って、ぜひ被災地を支援し続けたいものです。
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